参院選とヤジ排除問題

2022年3月25日、札幌地方裁判所は、2019年参議院議員選挙の応援演説を行う安倍晋三元総理大臣に対して、「安倍やめろ」「増税反対」などと発言したことによって警察官らに排除された原告2名が北海道警察を訴えた国家賠償請求事件について、合計88万円の支払いを認める判決を言い渡しました。弁護団は「北海道警察による表現の自由への侵害を正面から認めた歴史的な判決である。」との声明を出しています。


これは、声をあげた原告がその場ですぐ警察に取り押さえられたり、1時間以上も付きまとわれたことに対し、憲法が保障する表現の自由を侵害された、と慰謝料など損害賠償請求をしていたものです。対して道警側は裁判の中で、2人は他の聴衆から危害を加えられる恐れなどがあり、警察官職務執行法(警職法)に基づく正当な行為だと繰り返しました。


しかし、市民が撮影した動画や関係者の証言からは、2人が危険な事態にあったとはいえず、警察が体をつかんで移動させた行為などは、警職法の要件を満たしておらず、違法と認定しました。そもそも、危害を加える人を排除ではなくされる側を排除、証拠にヤフーコメントを提出など、法律の素人から見ても疑問が多いものでした。


判決は表現の自由について「民主主義社会を基礎づける重要な権利であり、公共的・政治的表現の自由は、特に重要な憲法上の権利として尊重されるべきだ」と指摘。原告らのヤジは公共的・政治的表現行為だと認めた上、警察官らは「表現行為そのものを制限した」と結論づけました。


この判決は憲法学者からも高い評価を受けていますが、4月1日北海道は判決を不服として控訴しました。

そして本年7月参議院選挙が予定されています。今回もまた大物議員が応援演説に来道するかと思いますが、この判決を受けて道警の方針に何か変更はあるのでしょうか?原告の一人は「偉い人は徹底的に守られ、市民は声を上げることすら許されないのか」と提訴の際話しています。権力者に異議を唱える表現や言論に対して警察が介入し、規制や制限を加えることが無いよう、市民は監視していく必要があります。(M.O)

コメント