世界の大都市の中でも、最も降雪量が多いと言われる札幌。特に昨年の大雪は中心部でも除雪の雪山が道路のあちこちに出現し、排雪が進まないことに苛立った市民が市長の名を冠して「秋元の壁」と揶揄する事態となりました。
なぜこんなに札幌に雪が多いのかと言うと、冬型の気圧配置では大陸から流れてくる極端に冷えた空気が北風に乗って日本海を通過するときに、温度差で雪雲が多く発生し雪を降らせるためです。札幌に海はありませんが、すぐ北にある石狩湾から雪雲が流れてきているのです。この雪雲は大雪山系や日高山脈に遮られるため、オホーツク側や太平洋側は雪が少ない傾向になります。
しかも、このメカニズムでは大陸からの冷たい空気と、日本海の水温のギャップによって雪雲ができるため、温暖化で海水温が上昇している昨今ではますます降雪量が増えることになります。気候変動は着実に日々の生活に影響が出ている状態です。
大雪に見舞われた令和3年度の除雪費用は当初予算の170億円ではとても足りず、結果として263億円が使われました。本年度の予算は約171億円。また大幅な増額になるのでしょうか。
札幌市が招致を目指している2030年冬季オリンピック。先日北海道新聞の世論調査では、札幌市民の67%が招致反対との結果が出ました。反対理由の1位が、「除雪やコロナ対策・福祉など他にもっと大事な施策がある」でした。オリンピックで夢や希望を感じるよりも、 身近な「雪」問題を解消してほしい、札幌市民の切実な声と言えます。
今年の降雪状況はどうなるのか、北海道や札幌市の政策決定にも大きな影響を与える問題となりそうです。
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