核兵器は廃絶できるのか

被爆地広島でのサミットが終わり、先進7カ国首脳は核兵器のない世界を「究極の目標」とする首脳声明を発表しました。核軍縮に関する共同文書「広島ビジョン」は、核保有国に核軍縮交渉を義務付けた核拡散防止条約(NPT)を礎とし、ロシアや中国にも対話を求めています。これは核軍縮に初めて特化したG7の文章ですが、内容としては今まで先進国首脳が主張してきたものと何も変わらず、ウクライナ侵攻で核の威嚇を行うロシアや核戦力の不透明な増強を続ける中国を非難する一方で、G7の米英仏が保有する核兵器は「防衛目的」と強調し、核削減の目標も掲げていないものです。(東京新聞5/21号)


これに対し日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のメンバーは、核保有を正当化し、核抑止論を強調したなどとして「期待を裏切られた。怒りに震える」と失望感をあらわにしました。(東京新聞5/22号)国連などで被爆者としてのスピーチを行ったこともあるサーロー節子さんは「自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されない」と批判しました。「長年、各国が言っていることばかり。核兵器を肯定しようとする限り、廃絶につながる新味のある核軍縮提案は打ち出せない」と言い切っています。(中国新聞5/20号)


広島が地盤である岸田首相は「核軍縮はライフワーク」と公言していますが、結果として今回のG7では核兵器を容認する内容になっており、さらにロシアや中国からは大きな反発を招いています。ウクライナのゼレンスキー大統領も出席し、大成功に見えますが果たして?


日本の立ち位置を考える時に452号の特集をぜひ参考にしてください。 日本は位置からも唯一の被爆国としても「緩衝国」として、出来ることがあるはずです。それは米国から武器を爆買いすることでも、ウクライナへライフルホルダーが付いている自衛隊車両を供給することでもないはず。 「われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認する。」という素晴らしい憲法前文を持つ国がいったいどこに行くのか注視が必要です。


ノーベル文学賞受賞の「カズオ・イシグロ」が表紙の452号は坂本美雨さん。インタビューなど盛沢山でおすすめの内容です。 バックナンバーはお気軽に販売者へお尋ねくださいませ★

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