かつて「武器輸出三原則」として、原則として武器および武器製造技術、武器への転用可能な物品の輸出が禁じられていたものが、2014年「防衛装備移転三原則」となり、武器の輸出入を基本的に認める内容になってから約10年、ウクライナ侵攻や「台湾有事」を理由に、さらに要件緩和の動きが見られます。
自民、公明両党は21日、武器や関連技術の輸出ルールを定めた防衛装備移転三原則の運用指針見直しに向けた論点整理に入り、「輸出できる装備品の拡大」「侵略を受けた国への輸出解禁」など4項目について検討することで合意しました(6/22北海道新聞WEB)。 三原則の運用指針は、安保協力のある国に輸出可能な装備品を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5類型に限定していますが、見直し協議では、これに「地雷除去」「教育訓練」「通信」を加える方向で調整。自民は5類型自体を撤廃し、殺傷能力のある武器も含め輸出先ごとに判断するよう求めています。
そもそもは岸田政権が昨年の国家安全保障戦略の改定で、ウクライナ支援や台湾有事を念頭に、日本の防衛上意義のある装備品の輸出拡大に向け、現行ルールの見直しを明記。これを受け、具体案を議論するため4月に与党協議が始まり、殺傷能力のある武器輸出は、現行ルール上でも可能という「新解釈」が浮上しました(6/18東京新聞WEB)。今国会でも浜田防衛大臣が現行ルールに関し「殺傷能力のある兵器移転が可能か否か言及されていない」と説明しましたが、 小野寺元防衛大臣は「殺傷能力のあるものは一切、装備移転できないと思っていた」とし、複数の防衛省関係者も「そんな解釈は知らなかった」と漏らします。なし崩しに解釈を拡大しようとする姿勢は、米軍がウクライナ向けの火薬を日本企業から調達しようとしているからなのか、バイデン大統領から軍事費増額を要請されたからなのか、は分かりませんが、「平和国家」のイメージを捨てる気なのは確かなようです。
「軍事化する日本」が特集の291号は2016年発行ですが、この頃から既に軍事化が顕著になってきていました。表紙は、くしくもロシアのキャラクター 「チェブラーシカ」。元々は旧ソ連体制を批判するために描かれたとも言われていますが、米国が映画配給を止めた影響で、チェブラーシカの映画が本年初頭にロシアで大ヒットしたのは一種の皮肉でしょうか。 もしかしたら札幌にあるかもしれないバックナンバーはお気軽にお問合せを!
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