原爆の日と核兵器廃絶と

5年に一度開催される核拡散防止条約(NPT)再検討会議が8月1日、ニューヨークの 国連本部で開幕しました。条約や過去の会議の合意内容の履行状況を点検し、今後の方向性を示すために行われますが、ウクライナ侵攻はまだ収束をみせず、アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問に反対した中国の軍事演習では、日本の排他的経済水域の内部にミサイルを落下させるなど、世界の紛争はますます混沌としており、核軍縮を実現するには難しい状況です。


奇しくも広島に原爆が落とされた8月6日、2人の被爆地首長がそれぞれの場でスピーチを行っています。広島では松井市長が平和宣言の中で、「他人の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない。他人の幸福の中にこそ、自分の幸福もあるのだ」というトルストイの言葉を引用。一方、ニューヨークの再検討会議では長崎の田上市長が演説を行い 「人類が核兵器のリスクから免れる唯一の手段は、廃絶しかない」と語りました。


12年振りに現職の国連事務総長として広島の平和式典に参加したグテーレス氏は、「広島の恐怖を常に心に留め、核の脅威に対する唯一の解決策は核兵器を一切持たないことだと認識しなければならない」「ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ」と訴えたのに対し、岸田首相は日本の首相として初めて参加したNPT再検討会議でも、平和式典でも「核兵器禁止条約」には触れず、「意図的に無視している」 と被爆者のサーロー節子さんに批判されています。


原爆投下から77年。「長崎が最後の戦争被爆地として歴史に刻まれるかは、私たちがつくる未来によって決まる」と語った田上市長。436号で取り上げられている絵本はそんな未来つくるヒントになりそうです。ぜひバックナンバーもご覧ください。

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