福島原発事故の教訓はどこへ?

2011年の福島原発事故事故から12年。政府は年内中に「処理水」を海洋放出する計画を決定、4月に開かれるG7サミットで各国のお墨付きを得ようとしているようですが、明確に反対する国もあり文言に加えるのは難しい状況です。


岸田政権が掲げるGX(グリーントランスフォーメーション)で脱炭素を目指すとしていますが、今のところ原発に前のめりな政策にしか見えません。2月13日原子力規制委員会は原発の60年超運営を容認する内容を決定。賛成議員の中からも疑問の声が残る中、ただ1人の委員が反対する中多数決という異例の決定でした。しかも唯一反対したのは地震や津波の審査を担当する石渡明委員。この規制委員会で反対意見が出たことに対し、岸田首相は環境相と経済産業相に「新たな安全規制の具体化」と「的確な安全審査に向けた官民の体制整備」などを進めるように指示し、環境相はそれを規制庁に伝えました(2月19日 朝日新聞デジタル)。原子力規制庁は政府から独立した機関ですが、政府による圧力は明らかで、岸田政権の焦りとも言えます。


2月21日午前10時半頃、茨城県東海第二原発では非常用電源が停止。16時時点で外部電源が確保されており、直ちに危険な状態ではないというが、2月22日現在で原因不明。東海第二原発は1978年に営業を開始したもっとも古い原発の一つ。そんな中、2月22日東電は世界最大の原発である新潟の柏崎刈羽原発で模擬燃料を使って健全性の確認を行うと発表。現在原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令が出ている中での作業です。


ウクライナ侵攻から1年。戦争が続く中エネルギー価格の高騰は続き、そのためか、朝日新聞が2月18・19日に行った世論調査では、原発の再稼働に賛成が51%と、福島原発以降の調査で初めて過半数を超えました。反対は42%でした。確かに燃料費高騰は全ての商品の値上りに直結し家計を直撃していますが、安全性が増したわけではありません。原発運営延長に反対した石渡委員の発言です。「科学的・技術的な知見に基づいて人と環境を守るということが原子力規制委員会の使命。今回の改変は、何らかの新知見があってそれ に基づいて法律を変えるということではない。運転期間を法律(炉規法)から落とすことは安全側への改変とは言えない」この重たい言葉を受け止めるべきではないでしょうか。

コメント