442号のインタビューは、東京オリンピック2020のシンクロナイズドダイビングで金メダルを獲得したトーマス・デーリー選手。彼が観戦中に編み物をしている姿を覚えている方も多いと思いますが、実は「編み物男子」世界でも増えているようです。
コロナ禍でおうち時間が増え手芸を始める方も増えているようなのですが、それより前の2016年に南米チリでは男性限定の編み物集団「Hombres Tejedores(オンブレス・テヘ ドーレス)」(スペイン語で編む男たちの意味)が結成されています。彼らは毎月開催される編み物教室に集まったり、時には公園や広場・美術館のパブリックスペースなどあえて人の目が付きやすいところでも集まって、“編む男”を打ち出しているのだとか。それは男性優位社会のチリでは、編み物という女の仕事は男のそれより下等だと見なされるため、男性が編み物をすることは、女性の権利向上や不平等な社会に対し疑問を呈する意味もあるようです。メンバーの一人は、「ぼくたちの目的は一つ。新しい社会、より良い社会、お互いを尊重するもっと人に優しい社会を編み出したいんだ」と言っています。
以前Twitterでも、カフェで編み物をしていた専門学校生が他のお客さんから「男が編み物をしているよ、キモ」と言われたことが話題になりました。知らず知らずのうちに「編み物」「手芸」は女性がやるもの、というジェンダーバイアスが私たちの中にあるのかもしれません。漫画「ニッターズハイ!」は男子高生が編み物を通じて自分を取り戻していく物語。少し前の話題ですが、オーストラリア南部では近海で船舶の原油流出事故が増えていることを受け、ペンギン用の小さなニットをボランティアが編んでいる中に109歳のおじいちゃんがいたことも。
まだまだ現実社会では「男らしさ」「女らしさ」を求められる場面も多いのですが、少しずつそんな凝り固まった考えから解放されるためにも「編み物」を始めるのは良いことかもしれません。「エコ」で「サステナブル」で「ジェンダーレス」この冬トライしてみませんか?
コメント